CSRレポートのガイドラインにはどのようなものがありますか。 | |
GRIとAA1000があります。 |
CSR(Corporate Social Responsibility; 企業の社会的責任と訳されることが多い)のレポートを行う主要なガイドラインは2つがあります。
最も代表的なものはセリーズ(米国)という組織がUNEP(国連環境計画)と協力して作成されたGRI(Global Reporting Initiative)ガイドラインです。
GRIでは、サステナビリティとは環境、社会、経済のトリプルボトムラインであることを提唱しています。策定にあたっては世界中からパブリックコメントが集められました。
一方、AA1000はGRIに対抗してCSRに新しい潮流をもたらそうとアカウンタビリティという英国NPOが提唱したものです。
AA1000はステークホルダーエンゲージメントを重視し、ステークホルダーとの対話や約束のプロセスを経て評価指標を決めます。
GRIは指標そのものを定めますが、AA1000では個々の企業の特性に応じて指標を決めます。そのためAA1000はGRIと異なり指標を設定するプロセスを規定します。
AA1000が出てきた背景には、たとえGRIの指標を用いても、例えば高カロリーのファーストフードを食べ続ける弊害のようなものは出てこない、という考え方があります。
国際的にはGRIの方がAA1000より多くの企業に採用されていますが、日本でもGRIが主流となっています。特に、大手企業ほどGRIに準拠する傾向にあるようです。一つにはGRIでは基準があらかじめ用意されている点が日本企業向きということがあるかも知れません。
とはいえ、日本の大手企業の中にも、東芝や富士フイルムホールディングスなど、AA1000に準拠したCSR報告書を作成しているところがあります。
財務情報以上に適用すべき基準には企業独自の考え方が反映されますが、そのような側面も含めて、CSR報告書は非財務情報の開示として今後も重視されるべきものと考えられます。
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