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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第76回:管理過剰な会社

Q 法務部門が作成した契約書の雛形を提示したら、取引先から思わぬ反発をもらってしまいました。
A 融通が利かず一方的な内容になっている可能性があります。

昨今はコンプライアンスが強く叫ばれ、各社で制度が整備されています。

取引先との関係では契約関係の書類を整備するということがよく行われます。それ自体は決して悪いことではないのですが、問題はどうしても弁護士ないしは法務部門が中心となって作成されるため、免責条項がびっしり列挙されるという具合に、自社の利益を守ることが中心となり、取引先との良好な関係を構築するという視点が欠落しやすい点にあります。

こうした契約書類の雛形を提示された相手方の中には穏やかに修正要望を出してくるところもあるでしょう。

ここで問題となるのは要望を受けた側の企業の対応です。多くの場合、法務部門に回送して判断を仰ぐことになりますが、一切の修正に応じないというスタンスで外部と接する企業も少なくないようです。仮に応じたとしても、一つの文言を修正するための調整に恐ろしい時間と労力と忍耐力を関係者に要求します。

そもそも修正の余地というか、歩み寄りの余地のない雛形などないはずですが、それに時間をかけて付き合っている余裕などない状況で多くの現場は動いています。結果的に、ビジネス機会を逃さないための時間的切迫感から「押し切り」になってしまうことが少ないようです。

このような状況は大抵の場合、取引先とじかに接する担当者にはよくわかりつつ、仕方なく行っているケースが少なくありません。

CSRの基本的な精神として社会との良好な関係を構築するということがあり、コンプライアンスもそのために当然果たすべき責務として取り組まれます。しかし、管理過剰に陥ったため本来組織として機能すべき社会との調和を図るバランス感覚が崩れてしまうことがあります。

組織として決して好ましい状況ではありませんが、案外マネジメントすべき層はそれに気が付かないことが少なくないようです。

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