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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第57回:伝統のブランドに求められるモダニティ

Q 日本の伝統工芸と比べ、海外のラグジュアリーブランドが盛況である理由は何でしょうか。
A 伝統の中に調和した現代性−モダニティがあるためと考えられます。

19世紀生まれのルイ・ヴィトンを始め、伝統ある海外のラグジュアリーブランドはますます発展を続けているようですが、ここ日本においてその盛況ぶりが特に目立ちます。

伝統という点から見れば日本古来の伝統工芸も決して引けをとらないものがあります。しかし、注目度はやはり銀座や表参道のストリートを華やかに飾る海外のラグジュアリーブランドが上なのではないでしょうか。

こうしたブランドの人気の秘密は、単に伝統があるという要素だけでは決して説明できるものではありません。

変わらない伝統の上に、いかにモダニティを取り入れるか、という努力を常に行ってきたことが、常に高い人気を維持できていいる秘密といえそうです。

事例としてクリスタルガラスで有名なバカラを取り上げて見ます。同社は1764年、フランス東部ロレーヌ地方にある寒村、バカラ村に創設されました。そして、今日世界に誇るクリスタルグラスは1816年に製造が開始されました。それ以来、「最高の素材、最高の技術、そしてそれを継承すること」という創業者ピエール・A・ゴダール・デマレ氏の理念に基づいて、3世紀にわたり至高の美を追求してきました。

同社の輝かしい名声は1855年パリ万博での金賞受賞以来数度にわたるパリ万博での受賞記録を経て、フランスのブルボン王朝、ロシア皇帝、インドのマハラジャなど世界中の王侯貴族から愛好され続け、不動のものとなりました。

このような歴史から、バカラブランドにはプレステージ性がある一方、過去の栄光が色濃く投影されています。

しかし、 バカラが本当に伝えたい価値は、現代性を伝統あるものの上に表現したいという「ルーツを持ったモダニティ」です。このような姿勢で製品を生み出してきたからこそ、100年前に作られた作品が今でもベストセラーになっていると考えられます。

特に、20世紀の中ごろになると、それまでの歴史性や機能美を維持しつつ、洗練された新しい表現力をアピールするようになりました。こうした流れに伴って、デザイナーの役割も重要になってきました。

その中で、社外デザイナーが社内のデザインチームと同様に重要な役割を果たすようになっています。同社では、社外デザイナーが集まるコレクションを開き、モダニティを代表するデザイナーとバカラの伝統技術が出会う場を設けています。

このように、ブランドを永遠に輝かせるためには、伝統の価値にモダニティを取り入れることが重要です。そのためにデザインの果たす役割は大きいのですが、単に目先を変えるようなことに陥らないためには、確固としたブランドのビジョンとコンセプトを持っていることが重要となります。

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