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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第51回:過去のイメージは負の遺産か

Q 当社には過去にヒットした製品のイメージがまだ強く残っています。何とか払拭したいのですが。
A 自社ブランドを想起してくれるきっかけは大切にすべきです

TDKのオーディオテープ、ブラザーのミシン、キヤノンのカメラ…過去にヒットし、あるいは一時代を築いた製品のイメージは、その会社を代表するものとして、長期にわたり持続します。ところが、その製品イメージはすでに会社を代表するものとはいえなくなっていることは少なくありません。企業ブランドを担う者としてはこの状態は非常に気になることであり、何とか払拭しようと考えるのは当然の成り行きのように見えます。

そこで、かつての○○という製品の情報は極力出さないようにし、新製品の情報ばかりを出すという企業広報を展開することがあります。さらに進んで、まだ製品化されていない新技術を中心にイメージを訴求しているケースも見受けられます。そうすることによって、革新的、先進的な技術の企業というイメージを植えつけることを意図したものと思われます。

しかし、ブランドと消費者とをつなぐものはなるべく多く、かつ太い方がよい、というのがブランド構築における重要な法則です。それが自社に対する関心を呼ぶきっかけとなれば、たとえ少々古い製品であっても、そこに自社の最近の情報を追加することによってより強く、より多様な心理的つながりを作るチャンスが生まれます。

世の中の圧倒的多数の企業は、消費者から想起すらされない状況にあります。そうした中で、たとえ事業としては少々色褪せていたとしても、自社を連想してもらえる圧倒的な存在のブランドを持っているのであれば、それは会社にとって非常に貴重な資産といえるのではないでしょうか。

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