ブランドのライセンスに関わる両当事者の責任は? | |
ブランドの管理を共同で行う義務があると考えられます。 |
ブランドのライセンス供与においては、ライセンシー(ブランドを借りて使用する側)は、ライセンサー(ブランドの権利を持ち、他者に貸す側)からライセンス供与を認められると、原則として契約で認められた範囲でブランドを自由に使用することができます。
ここで重要なのは、ブランドイメージは一朝一夕でできるものでは決してないということです。ブランドイメージは、消費者に対して長期にわたり一貫したメッセージを送り続けることによって強固になります。したがって、明確な戦略を持ち、細心の注意を払って管理をしていくことが必要になります。
仮にライセンサーの考えるブランド戦略と、ライセンシーが行うブランド管理のあり方が喰い違っていれば、ブランドイメージがうまく形成されないという結果になってしまいます。このような事態は、どちらの当事者にとっても決してプラスになるものではありません。
そこで、ライセンサーは、自社のブランド戦略を明らかにし、どのようなブランド管理を行って欲しいかをライセンシーに伝えなければなりません。また、複数の相手にライセンスを与えブランドの過剰な使用をひき起こしてしまうといった、ブランドの価値を下げ、ライセンシーの利益を損なうような行為は慎む必要があります。
一方、ライセンシーも、自社の行為によってブランド価値の低下を招いてライセンサーの利益を損なうようなことがないよう注意する義務があります。たとえば、仮に売れ残りが生じたとします。極端な低価格で処分すれば、結果的には回復しえないブランドイメージの低下を招く恐れがあります。このような場合には、お互いに話し合ってブランドイメージを損なわない解決方法を検討するのが良策であると考えられます。
ブランド価値が向上すればお互いにメリットを享受することができます。ライセンスの両当事者は、そのために共同作業を行うと良いでしょう。
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