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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第35回:ブランドの基本価値と情報価値

Q ブランドの価値を決めるものとしてどのようなものがありますか。
A 製品が持つ基本的な価値だけでなく、ブランドの情報が持つ価値に注目する必要があります。

ブランドの価値を決めるものとして、製品の機能的な面を中心とした基本的な部分だけでなく、そのブランドが持つ情報の価値もブランドの価値を構成する重要な要素となります。前者は基本価値や機能的価値などと呼ばれ、後者は情報価値や情緒的価値などと呼ばれます。

ブランドの基本価値は、消費者の基本的な欲求を満たす機能や性能に対応すると考えられます。たとえば、自動車であれば「走る、曲がる、止まる」は最も基本的な性能ですので、この部分に由来する価値は基本価値と考えられます。

一方、ブランドの情報価値は広告、パッケージ、デザインなどは製品の一部に付加された情報によるものです。これらの情報は消費者の購入を促進する役割を持ちます。自動車が持っている人のステータスを表すのは情報価値に基づいていると考えられます。

一般に、素材や産業財などは基本価値のウエイトが大きいと考えられます。逆に、化粧品や高級バッグなどは情報価値のウエイトが高いと考えられます。

基本価値と情報価値の占める割合は製品のライフサイクルとも関係しています。その製品が市場に投入された初期の段階では基本価値が中心となっていると考えられます。ところが、その製品が次第に製品が多くの人に認知され、評価されるにしたがって、情報価値が次第に多くの割合を占めるようになるものと考えられます。

そこで、競合に強いブランドがあった場合、その情報価値が大きいことに着目して、自社のブランドも情報価値を中心に強化すればよいと考えがちです。しかし、基本価値と情報価値は関連しており、現在だけに目を向けるのではなく、現在の価値がどのような経緯を経て形成されてきたのかも考慮することが重要と考えられます。

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