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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第17回:企業ブランドと商品ブランド -その1-

Q 当社にはいくつもの商品があるため、製品ブランド構築に投資するよりも、企業ブランドへの投資に集中すべきではないでしょうか。
A ブランド重視の人もいるので、製品ブランドはおろそかにできません。
図1

ブランド構築には多大な投資が必要になるため、個々の製品ブランドに経営資源を分散投資するよりも、企業ブランドに集中投資する、という企業は少なくないと思います。

極端な例として、ブランド名としては企業名しかなく、製品には名前がついておらず型番しかない、という場合があります。

数多くの製品を出している企業やIT関連企業のように、製品ライフサイクルが短い製品が中心の企業ではこうした傾向が顕著であるように思われます。

ブランドの競合にはいくつかのパターンがあり得ます。たとえば、企業Aが持つ製品aと企業Bが持つ製品bとが競合関係にあるとします。

企業ブランドAが企業ブランドBに、製品ブランドaが製品ブランドbにともに優位にある場合には、製品aが選択される確率が高いのはいうまでもないでしょう。

次に、企業ブランドでAがBより優位にあるのに、製品ブランドではbの方がaより優位にある場合を考えます。(もちろん前の説例と比べればレアケースであるのは間違いありませんが。)

今度は逆に、製品bが選択される割合がかなり大きくなると予想されます。特に、製品選択において製品ブランドを重視する消費者ほど、その傾向は強くなると思われます。

これは、「あの製品が欲しい」という思いは、その製品ブランドに対するロイヤルティが高いことに起因するためで、ひいては価格プレミアムを通じて製品の収益性に大きく響いてゆきます。

したがって、TVCMなどのブランド投資まで行わなくとも、製品を識別する手がかりとなる製品名すら与えない、というのはブランド構築の可能性を狭め、広範囲に及ぶ損失につながりかねないのではないかと考えられます。

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