流通業では高く売ることは難しいのではないですか。 | |
情報の付加価値に着目することが重要です。 |
流通業の社会的使命は1.物の流通に関わる社会的コストを低減すること、2.売り手と買い手のニーズを結びつけること、です。
1点目だけに着目するととにかく安売りが一番ということになります。
小売業において、多くの人が欲しがるブランド品を自社だけ安売りできればとても売上を上げることができます。しかし、今日、商品力のあるナショナルブランドは末端の価格が非常に良くコントロールされており、特定のチェーンや店舗だけが安売りすることは非常に困難です。わかりやすい例はアップルで、同社の人気製品は日本中どこで買っても値段が同じです。
商品価格を引き下げる方策としては、他に販売者側に強いバイイングパワーがあるノン・ブランド品で品揃えをするという方法があります。
いわゆる安売りチェーンの中にはこのような性格を強く持つところが少なくありません。かつてのPB(プライベートブランド)もまた、このような側面が強く出たものでした。
しかし、今日のPBはそれにとどまらず、良品計画の商品やセブンプレミアムに代表されるように、小売側が商品開発にも積極的にコミットして生み出されたものが現れています。このような商品はよく消費者ニーズをくみ取って値打ち感のある価格設定をしていますが、決して他の商品と比べて単純に割高、割安という比較をすることができないような付加価値があります。
これは、流通業の使命である「売り手と買い手のニーズを結びつける」ということを、自社の知識や情報という付加価値をつけることによって体現した商品であると考えられます。このような動きは、現在はアパレルや食品、日用品などで多いようですが、今後はコモディティ化した家電製品などにも広がっていくかもしれません。
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