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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第11回:ブランド評価アプローチその2-インカムアプローチ

Q ブランドを金額評価するインカムアプローチとはどんなものでしょう。
A ブランドがもたらすキャッシュフローの現在価値を算出します。
図1

ブランドの評価アプローチとしてもっともポピュラーなものにインカムアプローチがあります。

これは、そのブランドが将来もたらすであろうキャッシュフローを見積り、その価値を現在価値に割り引くことによってブランド価値を算出するアプローチです。

毎年一定のキャッシュフローをもたらしてくれるようなブランドの場合には将来のキャッシュフローの予測を行うこともそれほど困難ではないと思われます。しかし、そのブランドに対する企業の取り組み如何によって将来のキャッシュフローが大きく左右されるようなケースでは、予測には目標という意味合いが幾分か含まれることになります。したがって、将来のキャッシュフローの予測に相当の主観的要素が加味されるのはやむを得ません。

同様のことが、現在価値に割り引くための割引率の設定についてもいえます。キャッシュフローを現在に割り引くのはキャッシュの時間的価値を考慮するためですが(図)、そのブランドがもたらすキャッシュフローが不確実であればあるほどリスクプレミアムが上乗せされて割引率が大きくなり、その割り引かれた現在価値は小さくなります。ここで、リスクを判断するためには、他の事例や当該ブランドの置かれた状況を総合的に判断することになります。

このように、インカムアプローチは予測の方法や条件設定によって結果が大きく左右されますが、逆に予測の過程で企業の戦略に関わる様々な要素を盛り込むことができます。そのため、優れたモデル化を行うことができれば、合理的かつ説得力のある価値算出を行うことができます。

マーケットアプローチは事実上使えるケースが限られるのに対して、インカムアプローチは非常の多くのケースに対して適用することができます。そのため、会計上の必要性からブランド価値を算定しなければならない場合に非常によく用いられます。

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