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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第104回 旧社名のリバイバル

Q 社名変更のパターンを一つ教えてください。
A 以前から持っていたブランドを社名にするケースがあります。

かつて米国のデロイトコンサルティングが監査部門との関係からデロイトの文字を含まない社名に変更する必要に迫られた際、ブラクストンという社名を選択したことがありました。ブラクストンはその昔、デロイトコンサルティングが買収した経営戦略コンサルティング会社で買収後は事実上休眠中のブランドでした。これについて、古いものの使い回しだったらせっかく外部に大金をはたいて依頼した意味がないと社内では必ずしも好評ではなかったようです。

しかし、社名変更の際、過去にその会社が使っていたブランドを掘り起こしてリバイバルさせるのはよく用いられる方法の一つです。これは権利関係の問題が少なく、まったく馴染めないということも少なく、無難な選択であるといえます。全くの新規を要望するのであれば、ネーミングの依頼先に最初から考慮集合から外してくれと制約をつける方が後でがっかりせずに済みます。

目下使用中の商品ブランドやカテゴリーブランドを会社名にするパターンはもっとポピュラーです。近年ではパナソニックがそうでしたし、古くはソニーやヤマハなどもこのパターンです。プロモーションの軸が会社名でなくブランドであるため社名より浸透していることが多く、それならいっそ社名をブランド名と統一した方が良いという判断は十分あり得るところです。もし仮にファーストリテイリングがユニクロに社名変更するようなことでもあれば、同様のパターンになります。

近年の企業再編でホールディングカンパニーと事業会社のブランドが乖離するケースが増えています。ホールディング会社は顧客と直接接点を持たないので上場企業であれば投資家にのみ認知されれば十分という考え方もあるようですが、ブランド価値向上の観点からやがて見直される機会が訪れるかもしれません。

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