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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第91回 BtoBにおける営業の構造変革とWebサイト

Q BtoB企業におけるWebサイト活用の有効性をどのように認識すべきですか。
A 営業員という最もコストがかかる手段に依存した体制からの転換に大きな意義があります。

BtoB企業でWebサイトの戦略的活用を考える際の第一の着眼点は顧客の購買プロセスの変化です。多くのBtoB顧客はさまざまな情報源から得られた情報を総合的に判断し、段階を踏んで購買を決定しています。当然こうした情報源の中にはWebサイトも含まれます。今日、BtoB顧客側では購買プロセスの一環として相手方企業のWebサイトを参照する行動様式は既に定着していると言って過言ではありません。

しかし、販売者側には営業員がいない場所で顧客側が行う情報収集活動は見えづらいものです。そのためWebサイトに対する認識は希薄になりがちです。体験だけでは認識しづらい事実についてはしっかりと市場データを分析する姿勢が求められます。

Webサイトを戦略的に活用するためのもう一つの着眼点は経営効率に関するものです。大口顧客なら専任の営業員を張り付かせて置くこともできますが、相手先が小口化するほど営業員によるフォローの限界効用は低減します。営業員という高コストの手段を効率よく配置するための補完手段として見ると、Webサイト経由の売上が少ない、小口が多い、ということを単なるマイナス要素として捉えるのではなく、もっと経営的観点から総合的に評価することが重要になります。

残念ながら、多くのBtoB企業の現状を見ると、痛みを伴う人的資源の再配置などの固定費部分の構造には手を入れず、Web関連費用を含む外部流出価値だけを抑制している企業が多いように感じられます。しかし、このような施策はあくまで緊急避難的なものに過ぎず、構造的な体質改善とは異なります。

前回の不況の時も、極端な経費削減を行いじっとしている企業が多く見られた中で、積極的に構造改革に取り組み打開を図った企業から浮上しました。インターネットの発展という大きな世の中の変化を味方につけた効果的、効率的な経営のあり方を多くの企業に探求して欲しいと思います。

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