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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第84回:法律問題と倫理問題

Q 企業が「法的問題はない」「法律上の問題はクリアしている」と主張するときのCSRの観点から見た問題点は何ですか。
A 法律上の問題はクリアしていても倫理上問題がある場合、企業の社会的位置付けによっては社会問題化する恐れがあります。

楽天の行動ターゲティング広告ad4U(アドフォーユー)が他社サイトにアクセスした履歴に関する情報を収集していることについて問題視する声があります。個人情報保護の侵害など法律上の問題はクリアしていると見られますが、感情的に受け入れ難いと感じる人も少なくないようです。

また、総務省では、Googleのストリートビューを始めとする道路周辺映像サービスについて、法律上の問題はないとする研究結果を出したにもかかわらず、その後地方自治体などから強い反発が起きたことを受けて、個人のプライバシーに配慮した運用ルールを策定するよう求めていくことになりました。

このように、法律上の問題はクリアしていても、倫理上の問題が残る場合、企業の社会的責任に照らし、その問題にどう向き合うかが問題になります。 大企業ともなれば企業行動が及ぼす社会的影響は大きいため、倫理上の問題が思わぬ社会的反発となって跳ね返ってくることがあります。

消費者金融の分野では、従来、利息制限法を越える、いわゆるグレーゾーン金利が存在し、その金利を貸金業者が受け取っても、借主が任意に支払ったものであれば有効な債務の弁済とみなす、みなし弁済が認められてきました。しかし、最高裁判所の判例などを経て、グレーゾーン金利もみなし弁済も撤廃されることになりましたが、その背景には消費者金融に対する社会的反発があったことは想像に難くありません。

企業のある行為が社会との摩擦を生んでいることが認識され、にもかかわらず法律に違反していないことを理由に適切な対応を欠いたとき、思わぬ反発を招くことがあります。それが新たな規制や消費者運動と結びつくと、事業上の大きな制約となります。 当該企業の社会的位置付けによって求められる社会的責任は自ずと異なってきますが、企業にとってそれをどのように自己認識するかはリスク管理の上でも重要と考えられます。

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