MENU

Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第60回:広告は近い人にほど良く利く

Q 広告は、これから購入して欲しい(が到達が難しい)社外の人に対して行うものではないですか。
A 社内の人や取引先、既に購入した人に向けた広告もあります。

商品を販売するため、広くターゲットに告知するのが広告の重要な目的であることは間違いありません。

しかし、ここで視点を変えて、その会社の広告にもっとも注目するのは誰か、ということを考えると、また違った見方ができます。

広告に最も注目するのは、既にその会社のことに関心がある人です。逆に、会社に関心がない一般消費者の注目を引こうとするからこそ常に奇抜なアイデアや人気のタレントなどが求められるといえます。

その会社に最も関心がある人、それは社員(と競合企業)です。彼らは普通の人が見落とすような小さな広告でもかなりの確率で見つけるでしょうし、よい広告活動をしていれば、社員や家族はそれを見て誇りに感じるでしょう。実際、「日立の樹」や「ムラタセイサク君」はグループを含めた社員のロイヤルティ向上にかなり貢献しているのではないかと思われます。

もっとも、多くの企業ではこうした効果を上層部に訴え、認められるのはまだまだ大変かと思います。

他に、広告に注目するステークホルダーとして、問屋、小売店などの取引業者が挙げられます。日用品メーカーでは、この期間にこの商品で集中的に広告を投下するのでぜひ当社製品を店頭に置いて欲しい、といった営業を流通業者に対して行うことがあります。流通業者は、商品の販売に影響が大きいメーカーの広告の動向には敏感です。

商品を購入した人、特に購入直後の人も広告に注目します。たとえば、自動車のような高額商品を買った人は、自分の選択が正しかったということを確認したいために、購入後にその商品の広告に非常に注目するようになると言われます。

このように、その会社に近いステークホルダーほど広告に注目してくれるとことを踏まえると、その人たちに向けて積極的にメッセージを発していくことはもっと取り組まれてよいように思います。

印刷する 印刷する