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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第47回:広告効果の測定はなぜ難しいか

Q 広告効果について検証ができず困っているのですが。
A 効果発現の構造が複雑なため、数値化が容易なプロセス指標を用いざるを得ないのが現状です。
【図1】

【図1】

広告宣伝費は多くの企業にとって非常に大きな費用項目です。にもかかわらず、本当に効果があったのかを直接的に示す指標を得にくいため、なかなか効果を検証しづらいのが現状と思います。

構造の複雑性の要因として、広告効果に影響を与える変数が非常に多く、かつ互いに影響し合っていることが挙げられます。

たとえば、テレビCMであれば、どれだけ多くの人の記憶に残ったかは、メッセージへの接触時間、頻度だけでなく、クリエイティブという要素の影響を強く受けます。更に、本当の結果指標は製品が売れたかどうかで見たい、ということが多いと思いますが、その売上は様々な要因で複雑に絡み合って実現されています。

また、広告はある程度投下しないと効果が得られにくい、といわれています。その境目となる閾値を超えると急激に効果が発現する、と言われています。また、一定量以上投入すると、今度はあまり投下しても効果が出にくくなる、と言われています。(図1)こうした現象は効果を見づらくする要因となります。

更に、広告を止めても直ぐに効果がなくなるわけではなく、ある程度の期間効果が持続するという繰越効果がある、と言われていますが、これも費用対効果を分かりにくくする要因となります。

このようなことから、本当の費用対効果ではなく、接触者数など、広告のプロセスで取ることができる明確な指標を用いることが多いと思います。

このように、効果を直接的に示す指標は得にくいのですが、だからといって一足飛びに広告宣伝をやめてしまう、ということにはならないと思います。しかし、現実的には、多くの企業が、広告効果に疑問を持ちながら、利益が予想以上に出そうになると急に広告宣伝費を支出するという行動を取ります。このような意識・行動は、結果的にブランド形成における長期一貫性を妨げる要因になりやすいのではないかと懸念されます。

【榛沢明浩】

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