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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第58回:視聴率と視聴質

Q 広告効果を視聴率で示す例が多いようですが、果たして妥当な見方でしょうか。
A 視聴の質を重視すべきです。

民放テレビの真の顧客は実は視聴者ではなく、広告主です。そして、広告料金は視聴率に基づいて計算されます。したがって、視聴率はテレビ局の売上そのものであり、ゆえに熾烈な視聴率競争が展開されます。また、視聴率は関東のウエイトが高いため、キー局の番組は関東をターゲットにしたものが多くなります。

これに対して、視聴者からの受信料で成り立つNHKの顧客は視聴者そのものです。したがって、番組の内容そのものに対する視聴者からの評価を非常に大切にします。また、視聴率はあまり期待できないような番組や、地域のための番組にも質の高い番組があります。このたび受信料の支払の義務化が見送られましたが、もし義務化ということになると、NHKの真の顧客は政府ということになったでしょう。良い番組を見続けたい視聴者にとって、視聴者との緊張関係が保たれる今回の決定は悪くなかったかも知れません。

インターネットにも視聴率という概念があります。

広告が主な収入源となっている媒体では、媒体力を現すもっとも基本的な指標はリーチやPVなど、視聴率と同様の概念を背景とした指標となります。民放と同様、広告料金は基本的に視聴率で決まりますので当然といえば当然のことでしょう。

それでは、企業Webサイトはどうでしょう。企業Webサイトのターゲットは顧客であり、投資家であり、学生であるというように、その企業の直接、間接のステークホルダーとなります。そして、その母数は業種によって全く異なります。したがって、BtoC企業のサイトの視聴率とBtoB企業の視聴率を比べても全く意味を持ちません。視聴率はあくまでターゲットの中でのリーチを考えるべきです。さらに、重視すべきはターゲットの情報ニーズを満足させたかどうか、ビジネスに貢献したか、投資や就職の意向が高まったか、など、視聴「質」に関する指標です。

このような基本認識に基づいて、弊社のWebサイト関連調査はユーザーの満足度、購買意向の高まりといったス視聴「質」を測ることに重要なポイントを置いて設計されています。

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