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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第138回:ベネフィットを伝えるネーミング

Q 売上を上げるためのネーミングの方法を教えてください。
A 一つのパターンとして、ベネフィットを伝える名前にするという方法があります。

すでに20年以上経ちますが、レナウンが紳士用抗菌防臭靴下の名前を「フレッシュライフ」から「通勤快足」に変更し、大ヒット商品となりました。この事例は今日でもネーミングの成功事例として有名です。

これはベネフィットが伝わるネーミングを採用して成功した事例ですが、「売れるネーミング」の典型的なパターンの一つといえます。

優れたベネフィット伝達型の名前は、商品の内容をあれこれ説明しなくても、聞いただけで購入のメリットが伝わり、購買意欲を喚起します。たとえば、ユニ・チャームの「愛犬元気」といった商品名からは、食べて元気になる愛犬が思い浮かぶようで、愛犬家の心を大いに刺激します。

もっとも、数多くあるネーミングの手法の中で、この方法が常に有効であるとは限りません。おそらく、コモディティの分野ではこの手法は非常に有効なことが多いと考えられます。秀逸なネーミングで有名な小林製薬やエステーといった会社は、いずれも非常に生活に密着したヒット商品を数多く生み出しています。逆に、高級イメージを訴求したいプレミアムブランドの分野でこのような手法を採用している事例はあまり多くみかけないように思われます。

また、言葉の印象は国によって異なるため、ローカル対応の必要性が高くなります。フィリップスの調理家電「ノンフライヤー」はじつは海外の多くの国では「エアフライヤー(Airfryer)」と称されています。しかし、日本では揚げ物を避けることとヘルシー志向が結びつきやすいため、「ノンフライヤー」のネーミングが日本市場では非常に訴求力を持っています。

このように、製品・サービスによっては、ベネフィットを効果的に表現する名前はそれ自体が強力なマーケティング手段となります。

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