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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第108回 CSR時代の企業広報のあり方

Q 企業の社会的責任(CSR)が重視されるようになって企業広報のあり方はどのように変化するでしょうか。
A 外部メディアを通じた間接的なコミュニケーションから、自社とステークホルダーの接点を通じた直接的なものをより重視したものにシフトすべきであると考えられます。

従来の企業広報では新聞を始めとする外部メディアが重視されていました。自社の記事を好意的に取り上げられるようにするため、コミュニケーションの重要なターゲットは記者でした。また、不祥事を起こしてメディアからバッシングを受けることがないよう、リスク管理が重視されていました。一部の予算が潤沢にある企業ではテレビなどで企業広告を流すことができましたが、時間などの制約から伝えられる内容は企業認知など目的を絞ったものが中心でした。

このような従来型の企業広報の延長でCSRのコミュニケーションを捉えると非常に制約が大きいものとなります。

外部メディアを通じたコミュニケーションでは、部数や視聴率を伸ばすには美談より不祥事の方が有利というメディア側の都合もあって報道として取り上げてもらえる機会は少なそうですし、かといって手っ取り早く広告枠を買うのも、企業名を連呼するCMの連想からか、わざわさ費用を払ってまで社外に自社の美談を自慢するのはいかがなものか、ということが議論されたりします。

しかし、CSRをどのようなものと捉えるかに関わりますが、その企業のあり方を通じてどのように社会的価値を実現するか、ということについて、外部のステークホルダーに理解を深めてもらうのは大変意義深いことと考えられます。

広く一般の方に対してはその人の興味・関心の持ち方に応じて理解を深めることができるWebサイトのような情報提供形態は非常に重視されるべきでしょう。また、公正な取引のための自社の遵守事項を明確化するなどは取引先との接点となる人が接触の機会ごとに会社の信頼を積み重ねる上で前提となる重要なことと思われます。

このように、CSRが尊重される時代にあって、従来のようなメディアを通じた間接的なコミュニケーションから、より直接外部のステークホルダーと対話するコミュニケーションを重視するように企業広報のあり方は変わってゆくべきものと考えられます。

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