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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第107回 大きな話題よりたくさんの小さなフック

Q 当社は大きな話題を呼べるような仕掛けが難しいのですが、どのようにブランドを構築すれば良いでしょうか。
A 小さくてもフックになるようなものを数多く持つことが有効と考えられます。

メジャーなブランド、何かの点で際立ったブランド、あるいは大きな予算が用意できるブランドであれば、イベントや広告キャンペーンなどを仕掛け、大きな話題を呼ぶことが一般的には行いやすいと考えられます。しかし、多くの製品・サービスではそのようなことが困難な状況にあることも少なくありません。

このような場合、大きな話題を狙えないなら、その代わりにブランドと消費者を結びつけるような小さなフックをたくさん用意するというアプローチが有効となります。

たとえば、旅館を例にとると、非常にゴージャスである、著名人がよく利用している、その1軒だけ絶景に面している、などの際立ったものがあればそれに越したことはありません。しかし、そうでなくても、エントランス、浴室、料理、デザート、レストラン、寝具、浴衣、売店、ポストカード、オリジナル土産、周辺散策マップ、音楽、カラーリングなど、それぞれについて意味を持たせ細部にこだわりを持って作り上げていけば、一つひとつは小さくても何か顧客が共感できる部分が生まれるはずです。そこからその細部を成り立たせているその旅館のコンセプトの一端を感じ取ってもらえるようなものを作り上げることができれば、そのブランドについて色々な言葉で語ることもしやすくなります。

ブランド構築には細部へのこだわりが重要ですが、その一つひとつが消費者との接点となり、魅力の源になります。このように、ブランド力は必ずしも資本力の大小では決定づけることはできません。その分、いかに知恵を絞るかが重要となります。

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