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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第83回:NPVにおける事業計画年度以降の扱い

Q NPVを算出するために将来のキャッシュフローを予測しますが、予測の範囲を超えた遠い将来はどのように扱えばよいでしょうか。
A 永久年金方式が一般的です。ただし、感覚的に受け入れにくい点を克服できるかどうかが問題です。

NVPにおいて将来のキャッシュフローを正しく予測するための前提として事業計画の立案が必要となります。

しかし、将来計画期間には自ずと限度があります。あまり遠い将来のもの
は計画の域を逸脱し、むしろ目標ないし希望と呼ぶべきものとなります。多くの場合、事業会社の場合、計画の年限は5年かせいぜい長くて10年程度が限度です。

この場合、計画年度を越えた将来のキャッシュフローの扱いが問題となります。

最も一般的なパターンは、最終年度の営業キャッシュフローを横ばいとするものです。このような設定は一つの擬制に過ぎませんが、達成目標を最終年度で達成するような事業計画であれば、計画が軌道に乗った年度以降、最終年度まで成長する計画を立てるケースが多いため、それ以降を横ばいと見る見方は保守的見方として比較的受け入れやすいようです。

一定のキャッシュフローが毎年継続する場合、そのキャッシュフローの現在価値PVは
PV=CF/r(ただしCFはキャッシュフロー、rは割引率)
として求められます。このような計算方法を永久年金方式といいます。

この計算自体は理論上問題ありませんが、割引率によっては、事業計画年度中のキャッシュフローの現在価値より、それ以降の永久年金方式で算出したキャッシュフローの現在価値がずっと大きくなってしまうことが少なくありません。

そうなると、不確実な遠い将来の価値が、一定の厳密さをもって計画した年度の価値を大きく超えてしまうということに対してどうしても違和感が出てきます。代替案として、計画年度を越えた年度のキャッシュフローは思い切ってゼロとする方法があります。しかし、永久年金方式とのギャップはあまりにも大きくなってしまいます。また、そもそもゴーイングコンサーンを前提とした企業のブランド価値がある年以降、突然ゼロとなることが逆に違和感の元となります。

このように、NPVの採用にあたっては、不確実性が高い部分のウエイトが大きくなりやすい点をどのように克服するかが重要な問題となります。

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