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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第81回:エコを謳わないリスク

Q 環境性能は購買意欲の喚起につながりますか。
A 周囲が環境性能を謳う中で素通りは困難でしょう。

環境に良い商品は、環境対応にコストがかさむため、通常の商品より価格が高いことが少なくありません。

そこで、エコ商品に対する購買意向を尋ねる次のようなアンケートがよく行われます。

  • Q:あなたは環境に良い商品の購入についてどのように思いますか。
  • A-1:環境によければ値段に関係なく買いたい
  • A-2: 環境に良ければ多少高くても買いたい
  • A-3:(以下略)

しかし、こういう調査は往々にして「よい子バイアス」がかかります。実際には意向と行動は一致しないことが少なくない点に注意する必要があります。

一言で環境性能と言っても様々なレベルがあります。

低消費電力、低燃費などのメリットがある商品は、実際には経済的見地が消費者の選択を左右するキードライバーである可能性が否定できません。エコポイント付与、エコカー減税などの特典がある場合も同様です。商品によっては安全性などが選択理由になっている場合もあるでしょう。

一方、トヨタのプリウスのように従来のガソリン車にはない魅力を持ち、単なるエコカーの範疇にとどまらない優れた付加価値を持つ商品があります。

しかし、ほとんどの商品が環境性能を謳うような市場環境下では、ある特定の商品だけそれを謳わないか、少なくともあまり前面に出さないようなことを行えば、同質的競争において不利となる可能性はやはり否定できません。売り場で商品間の機能比較表があると、〇が少ないより多い商品の方が良さそうに見えてしまいます。

このようなことから、購入後にエコマインドという美徳心に訴求できる部分は念のため最初から除外しない方が無難であるといえるでしょう。

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