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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第74回:BtoB企業におけるVIの位置付け

Q BtoB企業ではVIはどのように利用すべきでしょうか。
A VIを面的、体系的に捉え、トータルで信頼感を訴求すべきです。

BtoC企業では個人が欲しいと思う欲求が商品に対するニーズのベースとなります。また。購入は個人の価値観に基づいて行われます。従って、VIは一つひとつの商品が個人の欲求に働きかけることが求められますが、異なるブランドの間での関係性はあまり顧慮されません。

これに対して、BtoBでは企業対企業、組織対組織の関係がベースとなります。そのため価値判断の基準は個人的な価値観だけに依存することは難しく、むしろ取引先として信頼できる対象かどうかが重要な判断基準となります。

マーケティング展開のあり方もBtoBとBtoCでは大きく異なります。

BtoCの場合にはマスメディアを通じた広範囲なコミュニケーションを経て幅広い認知を得るということがよく行われます。その過程で、消費者の需要を喚起し創造するためのマーケティング活動が展開されます。

しかし、BtoBではこのようなコミュニケーションはしばしば極めて非効率的です。むしろ、相手方のニーズに基づき、少ない営業の機会を活かした効果的なコミュニケーションを行うことが重要となります。

その時、自社が持つVIの方向性が定まらないと、相手に対して非常に散漫な印象を与える可能性が高いといえます。売り込みたい企業側は多くの場合担当者や担当部門ごとにVIを決めているケースが多いのですが、顧客側の企業はその企業の色々な商品を見比べていることが少なくありません。自ずとコーポレートのVIと関連する複数商品のVIを並べて目にするようになります。

BtoBで判断基準が個人の価値観のみによらないからといって、購買関与者が取引先の印象に左右されないわけではありません。むしろ、組織の上位者から承認を得るために保守的な判断になりやすい状況にあります。その中で少しでも有利な印象づけを行うために、VIには他のブランド要素と同様に一つのまとまりを持ち、全体として信頼感を醸成することが求められます。

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