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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第72回:優れたタグライン

Q コーポレートメッセージを伝えるタグラインとしてどのようなものが良いのでしょうか。
A イメージしやすさ、印象に残りやすさなどのほか、媒体での展開のしやすさ、その企業の業界でのポジションなどの要素が挙げられます

コーポレートメッセージを伝えるため、タグライン(企業ロゴなどに添えられる短いキャッチフレーズのこと)を用いたケースをよく見かけます。

良いタグラインの要素として、インパクトやイメージのしやすさ、ユニークさなどその言葉が持つイメージに加え、発音しにくい、聞いて心地よいなどの音韻的な要素が挙げられます。

多くのタグラインは15秒ないしは30秒のTVCMの最後(あるいは最初)の瞬間に流れるショートメッセージのことが多いため、認知はテレビCMでの露出によって大きく左右されてきました。

最近では媒体としてWebサイトの重要性が増し、Webサイトを通じてメッセージを伝える企業が多く見られるようになってきました。

一瞬でメッセージを伝えなければならないTVCMとは異なり、Webサイトではより冗長性を持った説明が可能となります。ストーリー仕立てで展開するといったこともより行いやすくなります。

タグラインの採用に際しては、媒体の環境変化を踏まえメッセージ展開のしやすさという要素の重要性が増していると考えられます。

こういう観点から見ると、「品質は、畑から」というサッポロビールのメッセージは非常に優れたものではないかと考えられます。畑から消費者の手元に届くまでの活動の一つひとつに企業からのメッセージを乗せて伝える、といったコミュニケーションが行いやすい優れたタグラインです。

食品業界では、「うまい」、「おいしい」、「品質」、「笑顔」などの言葉をそのままタグラインに用いているケースが多く見られます。しかし、こうした言葉は食品では当然のことであり、下手をすると無意味に近いものになりがちです。もっとも、トップメーカーならば許されるという側面があります。その企業の位置付けによってメッセージの受容性が変わる点もタグラインの考慮点として無視はできないと考えられます。

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