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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第70回:ブランドは技術名称の上位概念

Q 当社では新しい製品や技術を開発するたびにネーミングを考え、ロゴをつけ、ビジュアルを工夫しています。しかしどれもブランドとして定着しないのですが…
A 技術とは異なり、永続性のある取り組みが重要となります。

よく、新製品、新バージョンが出るたびに、それに新しい名前をつけて発売することがあります。

メーカーであれば技術的な特徴を表現しようと、技術名称を利用した例が広く見られます。サービス業であればサービスの特徴を分かりやすく表現しようと、ネーミングに工夫を凝らした例が数多く見受けられます。

しかし、変化が激しい市場において、何か一つのことが変わるたびにそれに名前をつけても、技術の移り変わりとともにその製品はすぐに陳腐化してしまい、その結果、いつまでもブランドとして定着するようなものが生まれません。

これは、その技術が良い、悪いということとは別問題です。

もちろん、ブレイクスルー技術によって従来とは全く異なる市場が創造される場合はそれにふさわしいブランドがあって良いでしょう。しかし、多くの場合は機能の追加であり、バージョンアップであるものが大半です。いちいちそれに対応していても、翌年新モデルが発売されるとすぐに忘れ去られてしまうか、よくてヒット商品として過去の記憶にしまいこまれます。

ブランド構築のためにはもっと時間軸を長く取り、長期的に価値を高めていくように取り組むことが重要です。

たとえば、コンパクトデジタルスチルカメラとしてソニーに「サイバーショット」というブランドがあります。その下位には様々なシリーズがありますが、それぞれはソニーの「サイバーショット」という大きな体系の中に位置づけられています。その結果、あるシリーズが市場の消長とともに生まれ、やがては別のシリーズに置き換えられても、「サイバーショット」のブランドは価値を高めながら生き続けることができるのです。

確かに技術は提供価値の重要な部分ではありますが、あくまで一部です。もっと上位概念に据えられるべき提供価値を見据え長期的に取り組むことによって初めて真のブランド構築が可能となります。

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