広告は自社の製品販売に目的を絞って行うべきしょうか。 | |
販促軸だけに偏らず、ブランド軸も考慮すべきです。 |
広告にはブランドを高めるという役割と販売を促進するという役割の2つの役割があります。しかし、ブランド向上という実感しにくい効果よりも、売上という目先の分かりやすい効果に重きを置かざるを得ないのが多くの企業の実情です。
その結果、広告の目的はその部門が今まさに売りたい製品を「ぜひ買ってください」とひたすら訴えるという、販売促進(販促)軸が強くなります。多くの企業で広告予算は事業部門別に立てられることがこの傾向にさらに拍車をかけることになります。
これに対して、ブランド軸は製品の価値、あるいは企業の価値を長期的に高めるための広告の要素です。ブランド軸を中心とした典型的な広告は企業イメージ広告でしょう。
ブランド軸と販促軸の大きな違いは時間軸です。ブランド軸は背景に長期的ビジョンと経営戦略があって初めて出てくるものです。これに対して、販促軸の時間軸はもっと短期のものとなります。長くとも会計期間を超えない、せいぜい1年以内の時間軸での取り組みとなります。
もう一つの違いはブランド軸が「自社はどうあるべきか」を追求する中から生まれてくるのに対して、販促軸は競合との関係でのポジショニングを強く意識する点にあります。
販促軸があまりに強くなりすぎるとブランド軽視につながりかねません。しかし、従来は商品ごとに全く独立して思い思いに広告が行われていた所にこれまでとは異なる軸を持ち込みコントロールすることは、組織機能のインテグレーションの問題です。
営業の現場が強すぎるなどの背景があるとなかなか実現は難しいかもしれません。しかし、そもそもブランド軸を持った広告を展開すると商品は売れなくなるのでしょうか。それは多くの場合単なる思い込みであり、ブランド軸の必要性は別次元の議論を含むと考えられます。
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