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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第61回:経産省モデルにおける基準企業の決め方

Q 経産省のブランド価値計算式に沿って企業ブランドの価値を計算する場合の基準企業の決め方はどうしたらよいでしょうか。
A 同業種内の最低値を取る企業を選びますので、金額は絶対値ではなく相対値であることに注意する必要があります

経産省のブランド価値モデルにはいくつかのファクターがありますが、そのうち一つに「プレステージ・ドライバー」があります。

これは、ブランド製品がノン・ブランド製品に対して価格優位性を持つことに着目したファクターです。そこで、計算式には当該企業とノン・ブランド企業の財務数値を入れる部分があります。

このうち、ノン・ブランド企業は業界で最低値(モデルでは売上高原価率の逆数を用いる)を取る企業を選びます。

経産省モデルの対象は上場企業ですので、実際にはノン・ブランド企業は存在しないはずですが、非上場企業まで対象とすると計算できませんので、とにかくこのように選びます。

一つの注意点として、一口に当該企業が属する業界と言っても一意に決まらないことがあります。

たとえば、ある都市銀行のブランド価値を計算するとき、基準企業は都市銀行(それほど数はない)から選ぶのか、地方銀行も含めた銀行(非常に数は多い)から選ぶのかで結果は大きく変わる可能性があります。金融業という業種区分の中から選ぶという取り方もあります。

もう一つの注意点として、業種内で最低値を取る企業は年によって変わるということがあります。そのため、年によって基準が異なるという問題点が生じます。

上記のような問題があるため、実際、試算をしようとするとどの企業を基準に選べばよいのか悩まされるだけでなく、数値の意味は何かが問われます。

ブランドの評価には絶対評価と相対評価があります。経産省モデルは金額価値を出すため一見絶対評価のように見えますが、実際には基準企業を決めることによって得られる相対評価であることに注意する必要があります。

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