MENU

Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第54回:社名変更の巧拙

Q 合併後の社名を検討したいのですが、旧社名を踏襲するのと、全く異なる名前を作るのとどちらがよいですか。
A どのようなイメージを訴求したいかによりますが、旧社名をつなげて長すぎるようなら新規に考えた方がよいと思います。

大型合併によって巨大金融グループが誕生するなど、M&Aの話題がしばしば新聞紙上を賑わせることがあります。その際、新社名のつけ方には大きく分けると2つのパターンがあります。一つは旧社名を踏襲するパターン、もう一つは旧社名にこだわらず、全く新しい社名をつけるパターンです。

ここで、片方が完全な主導権を握る救済合併のような場合には、吸収する側の社名をそのまま残せばよいのではないか、と思う方も少なくないと思います。しかし、日本の会社の場合には、実態はたとえそうであってもあたかも対等合併であるかのような形式にこだわることが多いと思います。

合併の一方の当事者が旧社名を残したい、と言い出せば、もう一方の当事者もそれならうちも、と主張するのは目に見えています。結果として、長々と旧社名をつなげた新社名が生まれることになります。しかし、あまりに長すぎると親しみにくい名前になってしまいます。

このような時には思い切ってシンプルな名前をつけた方がよいと思います。もちろん新社名を浸透させるためのコストはかかりますが、よいイメージを訴求できる可能性が高まります。「損保ジャパン」は後者のパターンで非常にうまくいった例ではないかと思います。

しかし、いつもこのようにうまくいくわけではありません。がらりと変えるにはそれなりのリスクを伴います。かといって旧社名をつなげたからといってうまくいくとは限りません。参考まで、以下に私どもの調査結果を示します(2006年5月、インターネットによるアンケート調査、回答者総数400)。なお、データには合併に伴う社名変更以外の場合を含みます。

「今でも旧名称の方がなじみがある」と答えた人の割合

【図1】「今でも旧名称の方がなじみがある」と答えた人の割合
印刷する 印刷する