CSRに関する情報発信をどのように行うべきでしょうか。 | |
貴社にとってのCSRは何か、という枠組みに沿って行うとよいでしょう。 |
一口にCSRと言っても、その対象はきわめて広範囲に渡ります。そもそも会社は利益を上げて税金を納めることが最大の社会貢献ではないかという考えもあります。また、法令順守に重きを置く考え方もあれば、社会貢献に重きを置く考え方もあります。
このように、一言でCSRと言っても、それが何であるのか、社会一般の統一的な見解は見出しにくいのが実情だと思います。このような中で、CSRの格付け機関では、CSRチェックリストに基づいて企業の「CSR度」をレーティングするところも少なくないようです。チェック項目の中には、例えば「女性の取締役は何人いるか」など、その善悪がとかく神学論争となりがちなものも少なからずあるように思われます。
このようなチェックリストはCSRの最大公約数的なものかも知れませんが、そのままでは会社が一体何をやっているのか、外部の人にはぼやけて見えるだけであるように思われます。
むしろ、「自社の考えるCSRとはこのようなものである」と枠組みを明確にして、それに沿ってその会社ならではの取り組みに関する情報を発信していくことが重要であるように思います。
この点で参考になるのはアサヒビールです。同社では、CSRをCS(Customer Satisfaction)+R(Relation)と定義し、あらゆるステークホルダーをお客様と位置づけ、その満足度(CS)を高め、ステークホルダーとの交流(Relations)を通じてCSRを推進する、としています。そして、同社の様々な活動をこの枠組みに沿って位置づけています。その結果、同社のCSRは同社に関心のある人にとって非常に理解しやすく、印象に残りやすいものとなっています。
このように、とかく寄せ集めになりやすいCSRですが、その会社ならではの活動を適切に伝えることによって、会社の独自性を訴求し、ひいては企業イメージの向上にもつながるのではないかと考えられます。
【榛沢明浩】
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