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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第43回:コーポレートブランディングの構造的問題

Q コーポレートのブランディングがうまくいかない構造的な原因として、どのようなことが挙げられますか。
A ブランディング業務推進役の位置付けに関わる、組織的な問題があると思われます。

売上は業界上位なのに、コーポレートブランドがそれほど上位にない企業をしばしば見受けます。このような企業の中には、広告宣伝に多額の費用を投じているところも少なくありません。一つの典型的なパターンとして、各プロダクトブランド一つ一つは強いが、方向性がばらばらで、全体として一つのイメージが描きにくいとまとめられるでしょう。

このように、プロダクト単位でブランドイメージが散在し、コーポレートブランドはそれらの上に漠然と乗っているかの状態では、どうしてもコーポレートブランドのイメージは希薄にならざるを得ません。

多くの場合、プロダクトブランドは売上・利益を生み出す直接の役割を担っている事業部門が担当します。事業部門では、各プロダクトの売上を最大化することが目標になり、コーポレートブランドにはあまり関心を払っている余裕がないこともしばしばです。

そこで、コーポレートブランドのビジョンを明確化し、各プロダクトブランドがそれに沿うようにガイドしていくべきであるという議論が出てきます。このとき問題となるのが、組織の中で誰がその役割を担うべきかということです。

多くの会社では、広報部門にその役割を期待するようです。しかし広報部門の活動は、他部門の情報をいかに効果的・効率的にメディアに伝達するかに重点が置かれることが多いようです。このような中で、広報部門の活動、考え方はどうしても受け身になりがちです。仮に、より能動的に活動したい意思があったとしても、それに見合う人員や予算が確保されないことが多いように見受けられます。

コーポレートブランディングを推進するための権限と責任の明確化は、非常に重要な組織上の問題となっているにも関わらず、現状では全く手をつけていない企業が少なくないように思われます。

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