MENU

Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第27回:企業ブランドと商品ブランド -その3-

Q 一般的に、企業ブランド中心の戦略と商品ブランド中心の戦略それぞれのメリット、デメリットは何でしょう。
A ブランド構築費用やブランド独自の戦略といった点などが挙げられます。
図1

企業ブランド中心の戦略は一般的にマスターブランド戦略に相当します。マスターブランド戦略は強力なブランドエクイティを持つマスターブランドが事業全体を覆う傘を提供します。この戦略の下では、マスターブランドが消費者の購買を喚起する主要なドライバーとなります。一方、商品ブランド中心の戦略は一般に個別ブランド戦略といいます。個別ブランド戦略では、製品ごとに異なるブランドを用います。企業名などのマスターブランドは普段あまり表に出ることはなく、各々のブランドは他と独立してつながりがないか、あっても希薄なものとなります。

マスターブランド戦略ではマスターブランドに投資を集中することができますので、ブランド構築が費用面で効率的に行えます。しかし、マスターブランド傘下の商品のブランド戦略はマスターブランドに大きく依存することになります。これに対し、個別ブランド戦略では、それぞれのブランドを個別に構築する必要があるため、マスターブランド戦略と比べてより多くの費用がかかることになります。その代わり、ブランドごとの戦略の自由度は比較的高いということができます。

個別ブランド戦略はブランドリスクの低減につながります。マスターブランド戦略のように、一つのブランドが大きく傷つけられるような出来事があっても、被害は問題となった当該ブランドに限定され、他のブランドに問題を及ばさずに済ませられることが期待できます。また、個別ブランド戦略では一つのブランドを切り離しても他への影響が少ないため、企業が傘下に持つブランドを個別に買収したり売却したりすることが比較的行い易いといえます。

一般に、日本企業は企業ブランド中心の戦略が多いといわれます。これに対して、欧米企業では個別ブランド戦略を採る例が多く見られるようです。

印刷する 印刷する