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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第25回:ブランドによる差別化

Q 我々の業界では他の要素による差別化が困難なため、ブランドで差別化をしたいが…
A ブランド自体で差別化するというより、むしろブランドを通じて差別化をより確実なものにします。

「我々の業界では差別化が困難なため、せめてブランドだけでも差別化したいが、よい方法はないか。」という相談を受けることがあります。

ブランドは、古くは陶工が自分たちの作品を他人のものと区別するために陶器の底に独自のマークを入れたり、スコッチウイスキーの樽に焼印をつけて中身のすり替えを防いだりと、製造業者を示すマークとして用いられました。

そもそもブランドの語源は自分の牛を他人のものと区別をするために「焼印をつける」という意味の古代スカンジナビア語であると言われています。 このように、差別化された製品を他と区別するのがもともとのブランドの役割です。

逆に、そもそも差別化できていない製品をブランド化することは極めて困難であると考えられます。

しかし、ここで採られるべき差別化手段は狭義の製品の性能や品質などの機能的価値にとどまりません。デザインなどの視覚的なものやイメージ、従業員による接客、アフターサービス、会社に対する信頼感、いわゆる情報的価値も有力な差別化手段となります。あるいは、有力なナショナルブランドに対して、地方の中小メーカーが地域密着の営業で対抗しているとすれば、それも立派な差別化手段となります。

そういう意味で、事業として存続する価値があるものであれば、何らかの差別化の方法を見出すことができるはずです。

もちろん、ブランド化を強固なものにするため、その製品の差別化ポイントを適切に表すような名前やロゴなどのブランド要素を用いることは重要です。むしろ、多岐にわたるビジネスの競争要因の全てにわたって強くなりたいと総花的になることが、その会社のブランド構築を妨げていることが多いように思われます。

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