MENU

Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第135回:ペルソナの数

Q ペルソナを用いたアプローチにおいて、設定すべきペルソナの数はいくつでしょうか。
A 一般に3から5と言われますが、ケースバイケースです。

ペルソナを用いてプロジェクトメンバーとユーザー像を共有するというアプローチが近年しばしば用いられるようになりました。

このアプローチについてはさまざまな解説書が出ていますが、設定すべきペルソナの数としてはおおむね3ないし5を推奨しています。

あいにくその数の根拠を明確に示したものを目にしたことは今のところありませんが、おそらくそれくらいの数のペルソナを設定すると、それ以上設定しようとしても既に設定済みのペルソナの何らかの要素と重複してしまうとか、レアなケースを想定しなければならなくなるといったことから導かれた経験的なものと考えられます。

多くのケースではこの経験論が当てはまるようですが、中には必ずしもそうではなく、ケースバイケースの部分が大きいものといえます。

たとえば、職業紹介業の企業が就職希望者に対して働きかけるケースを考えます。対象者として現在の求職者だけを考えればよいのなら、比較的ターゲットの幅は狭められるかもしれません。しかし、現在は就業しており今の段階ではまだ転職を考えていない方々といった潜在的な求職者層までを念頭に置くと、ターゲットの幅はぐんとひろがります。そして、キャリアに対する考え方は人それぞれ、転職を考えるきっかけもさまざまであると考えられます。それに対応して提起されるペルソナは無数にあり得ます。このような状況に対して設定する3~5のペルソナは、多くの人がそのいずれかのパターンに収斂するという性格のものとは異なります。むしろ、最初の手がかりとなる例示としての意味が大きくなると考えられます。マスマーケティングが全盛の時代には大型のコミュニケーションキャンペーンを成立させるためにターゲット像を少数に絞る必要がありましたが、インターネットなどを利用したマイクロマーケティングも併用しながらコミュニケーションを行う時代には、数をあえて絞るという考えにとらわれない方がよいケースが増えているように思われます。

印刷する 印刷する