知的所有権、知的資産、知的資本など、同じような用語がありますが、これらはどのように異なるのでしょうか。 | |
法的保護の強さや分離可能性によって区別することができます。 |
企業が持つ、知的活動に由来する無形の価値にはいくつかのレベルがあります。
そのうち、法律によって成立要件と保護範囲が明確化され、一定の要件を満たすことによって権利が確定するものは知的所有権、あるいは知的財産権と呼ばれます。代表的なものとして特許権や商標権、著作権などが挙げられます。
特許を申請するとその内容は公開されるため、秘密にしておきたいノウハウはあえて特許を取得しない選択を企業がすることがあります。知的所有権に加え、このような対象を含めて知的資産、ないし無形資産と呼ぶことがあります。営業秘密、取引関係などもこれに該当します。
知的財産権ほどではないにしても、知的資産にも法律の保護はあります。たとえば営業秘密は不正競争防止法といった法律によって保護されることが少なくありません。ただ、その要件が知的所有権とは異なります。
知的資産は知的財産権を含む集合ですが、知的資本はさらにそれらを含む上位概念と位置づけることがあります。しかし、知的資本という言葉が使われる文脈は、そのような階層構造を意識したものというよりも、より株価に代表される経済指標との関連の中であることが多いように思われます。すなわち、知的資本とは、企業価値に転換し得る知的な要素であり、それは超過収益力ないし株式時価総額と簿価企業価値の差額部分として表される、というものです。さらに、企業価値を高めるための知識創造活動が議論されるという方向に議論が進められることが多いようです。
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