商品コンセプトと商品化とのギャップを埋めるにはどうしたらよいでしょう。 | |
継続的な体験的学習のプロセスが求められます。 |
商品化においてコンセプトが重要であることがしばしば強調されます。仮にiPodを従来あるデバイスの延長で見ればパソコンより能力の劣るおもちゃにしか見えないかも知れません。しかし、むしろ優れたコンセプトによって新たなジャンルを創出する製品が生み出されたと見るべきでしょう。
ところで、伝統産業などにしばしば見られることですが、従来の延長で漠然と商品を作り続けていると、最初に商品コンセプトを煮詰め、その後に商品の具体的な形を決めるという業務プロセスが次第に組織から忘れ去られてしまうことがあります。そうなると、改めてコンセプト作りから取り組もうとしても、もはやそれを商品化する組織能力が著しく弱体化してできないということが起きます。
このような企業では「モノづくりは手を動かしてやってみて初めてできることであり、悪いのは商品コンセプトなどという抽象的でわかりにくいものを振りかざすことだ。」という主張が幅をきかせるようになります。しかし、コンセプトが曖昧な商品が消費者に大々的に受け入れられる可能性は低いので、コンセプト化能力が磨かれる機会がないまま売れる商品が生み出せず、悪循環に陥ってしまいます。
いったんこのような状況に陥ると、体験的世界からは理解できない領域が大きくなり、社内の力だけで脱却することは極めて困難となります。そうした場合の処方箋として、外部のプロを招くのは非常に良いアプローチとなることが多いようです。コンサルタントは社内の事情には疎いかも知れませんが、第三者として客観的にその組織に必要なものは何かを明確に示す能力に優れています。もっと本格的に社外から人材を導入して事に当たってもらうのも良いでしょう。ただし、その人が従来からの組織の慣性によって力が発揮できない状況を防ぐようなサポートが必要となります。
「コンセプト化」は個人の能力であると同時に、その能力を開化させ向上させるのは組織の能力でもあるのです。
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