いわゆる「AIDMAの法則」はどのようにして証明されますか。 | |
直接の証明は困難と考えられますが、有用性を妨げる理由にはならないと考えられます。 |
ナレッジマネジメントの分野で広く知られる理論に、「知識創造企業」(東洋経済新報社、1996)で詳述された野中郁次郎先生の「SECIモデル」があります。
このモデルでは、知識には形式知と暗黙知の2種類があり、共同化(Socialization)、表出化(Externalization)、連結化(Combination)、内面化(Internalization)という4つのプロセスを経て個人と集団の間で知識が移転され組織に知識が創造されます。また、4つ目の内面化の次は再び共同化に戻ってスパイラル状に知識が循環します。
このモデルは経験的には正しいと思われますが、あいにく状態変化の基準が難しく、直接的な証明は極めて困難であると考えられます。
マーケティングの分野におけるAIDMAも同様で、広く用いられる割には状態変化の測定が難しいため直接的な証明は困難なモデルといえます。たとえば、注目(Attention)と興味(Interest)は同時に起こることがありますので厳密に同じ人の中で分けられるかというと中々難しいものがあります。インターネットを取り入れた行動モデルAISASも同様です。しかし、先のSECIモデルは学術的分野に属するので無証明は良くありませんが、AIDMAのような実務に即したモデルはそれによって事象がうまく説明でき、戦略構築に有益であることが経験的に裏付けられれば十分です。そのことが正しさの間接的証明ともなります。
ただし、マーケティング・リサーチにおいては注意が必要です。調査の組み立てによりますが、特に、このモデルの存在を裏付けるようにデータを取ろうとすると失敗することが少なくありません。あくまでフレームワークとしての活用価値が高いものとして認識する必要があります。
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