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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第10回:ブランド評価アプローチその1−マーケットアプローチ

Q ブランドを会計的に評価するアプローチの一つであるマーケットアプローチとはどんなものでしょう。
A 市場で実際に取引された例に基づく評価です。
図1

ブランド価値を会計的な立場で評価するにはいくつかのアプローチがありますが、大別すると時価総額からバランスシートに計上された資産価値を引いて算出するアプローチと、ブランドを独立に抽出して評価するアプローチがあります。

後者の中で代表的なものとしてマーケットアプローチ、インカムアプローチ、コストアプローチの3つが挙げられます。

その中でマーケットアプローチとはその名前から推察されるように市場の実勢価格に基づいて評価するアプローチです。

市場価格は実際の取引事例に基づいて判断します。たとえば、A社が持つブランドaを評価するために、ブランドaと製品内容、マーケットにおけるポジションともまったく変わらないB社のブランドbが1億円で取引されているという最近の事例があったことがわかりました。このことから、ブランドaの価値も1億円前後であることがわかります。

あるいは、B社のブランドbはC社にライセンス供与され、毎年1千万円のロイヤルティを得ていたとします。この実績から、ブランドaは毎年1千万円の収入を得られるものとして価値を算出することができます。

マーケットアプローチは実際の取引価格に基づいているため、恣意性が入り込む余地が少なく、客観的、合理的な価格の決め方であるといえます。とくに、株主や税務当局など外部のステークホルダーに対してきちんとした説明を行う必要がある場合には、非常に説得力のある説明を行うことができます。

こうした意味で、マーケットアプローチは先の3つの方法のうちもっとも理想的なアプローチであるといえます。しかし、実際には同じような状況にあるブランドの比較データを入手することは極めて困難なことが多いというのが実情です。

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