アクセスの目的は商品だけではない
ECサイトやポータルサイトなどとは異なり、企業のWebサイトの大きな目的の一つにブランディングがあるということは以前述べましたが、具体的な方法としてユーザーに好感を与え、企業イメージを高める方法があります。
たとえば、ビールや清涼飲料水を考えてみたいと思います。こうした商品は、商品特性上、Webサイトの情報を参考に商品を選択するということがあまりありません。あらかじめ購入する商品について色々と調べ、絞り込んで買いに行く人より、店頭で見てその場で購入する人の方が多いと思います。
飲料メーカーのサイトは、確かに商品情報も豊富にありますが、それ以外の情報が非常に充実しています。
たとえば、キリンビールのサイトでは、「知る・楽しむ」というコンテンツの中に「キリンビール大学」というビールに関する知識を紹介する人気コンテンツがあります。また、「グルメ・レシピ」では、お勧めのレストランや居酒屋を探したり、お酒にあう食事のレシピを見たりすることができます。企業情報も非常に充実しています。
また、アサヒビールのサイトには「ファン!アサヒ」というコンテンツがあります。このなかの「アサヒボイスパーク」では製品に対する感想や意見を書き込むことができ、開発担当者のコメントがつくこともあります。サイトの双方向性を活かしたコンテンツとなっています。アサヒの他にも、日産自動車の「ティーダ公式ブログ」のように、Web上でのユーザーとのコミュニケーションを目的としたコンテンツを採用する企業が増えています。
Webサイトで企業へのイメージは変化する
【図1】 サイト閲覧による効果
サイトは販売促進を行うというより、ユーザーに楽しんでもらい、あるいは役に立つ知識を提供するのが主な目的となっています。更に一歩進んで自分の会社に興味を持っている人に対しては、自社のことをより良く知ってもらうためのコンテンツを用意しています。
これに対して、情報を受け取るユーザー側の反応はどうでしょうか。これについては、弊社では定期的にデータを取り、企業ごとの状況を把握していますが、その結果はいずれもサイト好感度は企業好感度に直結する重要な要素となっているということを示しています。
ここで強調しておきたいことは、企業ブランドは長期的に作られるものなので、いったん確立した業界内での序列を逆転するのはなかなか難しいのですが、Webサイトに対する好感度の序列は比較的簡単に逆転することがあるという点です。
いいかえれば、後発企業やあるいは下位企業にとって、これからの努力次第では、Webサイトを武器に、先発企業ないしは上位企業との差を縮め、逆転するチャンスがあるということを意味します。
実際、弊社の企業情報サイト調査の結果(こちら)によればWebサイトの閲覧直後には、その企業に対する好感度は閲覧前と比べて平均で3割程度アップするというデータが得られています。特に、過去に不祥事があった企業でも好感度が大きく向上している例があることは注目すべき点です。自社の不祥事を反省し、対応策や改善努力をユーザーに伝え続ける努力をすることで、マイナスイメージを徐々にプラスに転じていくことも可能です。(もちろん、実際の活動が伴わなければ逆効果となってしまうことは言わずもがな、ですが)
このような効果が累積されることによって、やがては企業ブランド力に対するWebサイトの影響は無視できなくなっていくものと考えられます。
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