経済産業省ブランド価値評価モデルにある「PD(プレステージ・ドライバー)」とは何でしょう。 | |
ブランドが持つ価格優位性に着目したファクターです。 |
PD(プレステージ・ドライバー)は、ブランドの信頼性によって同業他社よりも高い価格で製品等を販売できることに着目したファクターであり、価格優位性を表しています。
ここでいう価格優位性とは、製品等の品質や機能が同じでも、ブランド製品はノン・ブランド製品よりも高い価格で販売できることを表しています。
PDの計算式をみてみましょう(図1参照)。「超過利益のうち、ブランドに起因する部分がどれだけあるか」に着目して作られています。
この式によれば、超過利益率は売上に占める売上原価が少なければ少ないほど、ブランド力が強い、という結果が得られます。しかし、このやり方は適切とはいえないように思われます。
たとえば生産拠点を中国などの低コスト国に移せば、それだけでブランド価値が高まる、ということになります。Made in Japanは品質の点ではまだまだ捨てたものではないと信ずる立場からは、これはむしろブランド価値を下げる可能性が高いといわざるを得ません。
また、売上原価の比率は原材料価格や為替の変動によって著しく左右されますので、海外との取引が多い企業(その中にはソニーやトヨタなどわが国の代表的ブランドが含まれます)はそれだけの要因でブランド価値が大きく左右される可能性が大であるという結果になってしまいます。
次に、ブランド起因率ですが、これには広告宣伝費比率が用いられています。しかし、ブランド力が広告宣伝費に比例するというのはあまりに強引というほかないといえます。
さすがに経産省の研究会でも批判が強かったと見えて、これは本来「ブランド管理費用」を用いるべきだが、財務諸表には出ていないので、その代わりに使ったのだ、と報告書にはあります。そして、ブランド管理費用の開示は制度的課題としています。ただ、このような曖昧な概念が制度化される可能性はほとんどないと考えられます。
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