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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第12回:ブランド評価アプローチその3-コストアプローチ

Q ブランドを金額評価するコストアプローチとはどんなものでしょう。
A ブランドを取得するために必要な原価を価値とみなします。
図1

コストアプローチは、当該ブランドを形成するために必要な原価をもってブランドの価値とみなす評価アプローチです。

この場合の原価には2通りの考え方があります。

一つは歴史的原価で、当該ブランドを形成するために過去に支出したコストを積み上げることによって計算します。

もう一つは取替原価(再調達原価ともいいます)で、当該ブランドに相当するブランドを新たに創造するために必要と見込まれる総コストによって算出します。

いずれの場合も、算入するコストはブランドの開発費や広告宣伝費だけでなく、そのブランドに携わった人の人件費その他の維持管理費用を含みます。

理論的には取替原価を用いるのが望ましいと考えられますが、実際には歴史的原価を用いざるを得ないことが少なくないと思われます。このとき、過去の支出は額面でそのまま積み上げてよいのか、時間的価値をどのように考慮するのか、ということが問題にされることもあります。

コストアプローチに対するごく自然な疑問として、使ったコストと同じ効果=ブランド価値が生まれているといえるのか、ということがあります。世の中の成功したブランドの多くはコスト以上の効果を挙げているでしょうし、逆に消え去ったブランドはかけたコストに見合った成果がなかった場合がほとんどでしょう。

このように、コストとブランド価値の対応関係ははっきりしない点がこのアプローチの欠点です。それでもコストアプローチが用いられるのは、マーケットアプローチやインカムアプローチでは測定できない場合があり、その際にはコストアプローチに頼らざるを得ないことが少なくないからです。

コストアプローチは、他の2つのアプローチで求めた結果をクロスチェックするために用いられることがあります。とくに、インカムアプローチはキャッシュフローの算出や割引率の設定で恣意的になる恐れがあるため、コストアプローチを併用してチェックします。

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