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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第15回:信用毀損に立ち向かう

Q ライバル会社が自社の悪いうわさを流しているようです。対処方法はありますか?
A 民事的な救済のほか、刑法による保護を受けることができます。
表1

信用を失墜させるために自社に関する情報を操作し、不利益な情報を意図的に流そうとするライバル企業の企ては、ブランドに対する脅威です。

このような場合、被害を受けた企業は、名誉毀損、一般の不法行為、営業権の侵害による不法行為、不正競争防止法所定の不正競争行為、などの法的な根拠に基づいて、加害者に対し、損害賠償、原状回復の処置、将来の侵害行為の差し止め、予防を請求することができます。

特に、信用毀損(営業権の侵害)の場合、害を加えた企業は、民法の不法行為責任のほか様々な法律によって規制を受け、刑事罰に問われることもあります。(表1参照)

一般的に、営業上の損失と名誉毀損や信用毀損との因果関係を立証するのが困難な場合でも、会社が被った信用上の損害は慰謝料の中で考慮されることが多いようです。また、名誉や信用に対する意識の高まりとともに、最近は賠償額が高くなる傾向にあります。

最近はインターネットの匿名性を利用して、掲示板等を通じて風説を流布するという手口が横行しています。これについては、近年、プロバイダや掲示板の管理者に誹謗中傷発言を削除する義務を認める判例が現れています。また、一定の要件の下に、被害者からの発信者情報の開示請求を認める立法も行われています(いわゆるプロバイダ責任制限法)。

このようにして、かつて無法地帯であったインターネットを通じた営業妨害にもようやく司法、立法の網が掛けられるようになっただけでなく、ネットを通じた行為は通信記録を通じてむしろ「足がつきやすい」侵害方法になったともいえます。

こうなると、ライバル企業の取引先を訪れ、フェイス トゥ フェイスで悪いうわさを流すという昔ながらの営業妨害が、足が付きにくく、打撃力がありそうにも見えます。しかし、大抵の場合、相手にされないばかりか、失笑を買うことになります。

自社のブランド力を高める努力は惜しむべきでありませんが、他社を貶めることで優位に立とうとしては、かえって自社のブランドを損なう結果になるでしょう。

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