MENU

Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第21回:ブランドの危機管理

Q 事件が起きたときに自社ブランドが受けるダメージをできるだけ食い止めるにはどのようなことが重要でしょうか。
A 迅速な情報提供に努めることが挙げられます。
図1

【図1】

ブランドの危機管理の有名な事例としてよく引き合いに出されるものに、「タイレノール事件」があります。タイレノールは広く米国民に愛用されている解熱鎮痛薬でしたが、1982年、これに混合された異物によって数名のシカゴ市民が死亡した疑いが報道されました。

実際には異物が混入されたというのは疑いだけで、それが死亡原因かどうかは不明でした。しかし、この情報を受けたジョンソン&ジョンソンはただちに消費者に対してタイレノールを服用しないように警告するとともに、全製品の回収を行いました。さらに、その後異物混入ができないように包装方法の改善も行いました。

このような一連の対応によって、同社は自社のブランドを傷つけることなく、むしろ優れた対応を行ったとして賞賛されるに至りました。

このように、自ら不祥事を惹き起こさなくても、事件に巻き込まれる可能性はどの企業にも多かれ少なかれあると思われます。

事件への対応によって、ブランドを守ることもあれば、逆に大いに毀損してしまうこともあります。

社会的な関心の大きな出来事であればあるほど、消費者はその事件についてより多くの情報を得ようとします。

このような場合に、不充分で不確かな情報しか提供できないようだと、その企業に対する信頼が大きく揺らいでしまいます。そのため従来から迅速なメディア対応の重要性が強調されてきました。最近では、消費者がテレビや新聞の報道に飽き足らず、自らその企業のWebサイトで情報を得ようとする行動が目立つようになりました。

これは企業にとって消費者に直接情報提供し、信用を維持するチャンスといえます。しかし、不祥事に関連した企業の中には、その点についてWebサイトで殆どあるは全く触れておらず、ブランド価値を下げているケースもあるようです。

印刷する 印刷する