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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第86回:効果測定の前に費用測定を

Q 広告の費用対効果を測定するとき、投入費用は明らかなので、もっぱらアウトプットとなる効果の把握に集中すべきではないでしょうか。
A 必ずしもインプット側が自明とは限りません。正しい費用把握は費用対効果を高める第一歩と考えれられます。

広告費用削減に取り組む前提として費用対効果を把握しようとするケースは多いと思います。

このとき、費用の把握は比較的容易であると考える一方、効果は把握しづらく、しかも直接把握できる指標が金額単位で表されないケースが多いことから、何とか効果を把握し、かつそれを金額価値に換算するということに力を集中するケースが見られます。

しかし、費用側も自明なようで必ずしもそうとは限りません。

比較的把握しやすいのはプロジェクト単位で支出される外注費などの外部流出価値ですが、こうした直課できる費用のほか、多くの場合、直課できない間接費を持っています。しかも、その割合はとても無視できない大きな割合を占めていることが少なくありません。

Webサイトの場合には、特定のキャンペーンにかかる費用もさることながら、共通基盤の費用が大きな費用を占めています。

こうした費用を部門別、製品別、プロジェクト別など適切な単位で把握するには配賦というプロセスを経る必要ありますが、その基準を定常的に把握するためにはそれなりの組織的対応が必要となります。

コスト削減の前提として、正しいコストを把握することは自明のようでありながら、正しいコストを把握することそのものはコスト削減にはならず、むしろそれなりのコストを要するものです。しかし、正しいコスト把握はコスト構造のゆがみを見つけ、無駄の発生を防ぐ第一歩となります。

不思議なことに、マネジメントに携わる方々の間で、このことが自明のように理解できる方と、まったく理解できない方に分かれるように思われます。

把握できたとしても所詮あいまいさが残る効果より、やれば確実にできる費用の方の把握を優先すべき状況は少なくないように思われます。

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