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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第75回:レピュテーション・キャピタルを積み上げる

Q 会社の評判を上げるとどのようなメリットがありますか?
A 一つにはブランドリスクの低減という平時には実感しにくいメリットが挙げられます。

世間的に自分の会社の評判(レピュテーション)が良いのは良いことという認識は多くの人が抱いていることと思います。しかし、会社の評判が良いと具体的にどういうメリットがあるのか、と問われると、なかなか答えづらいものでもあります。

会社の評判と企業業績や株価には高い相関があるという指摘がある反面、多くの場合、効果発現の経路が直接的ではないため、「評判を上げるためにいくら費用を費やすと売上がいくら向上する」というような数式を立てることは容易でないと考えられます。

一方、会社の評判が良いことは、会社が何かの事故や不祥事に巻き込まれたときのリスクを低減させると考えられます。

事件・事故は対応を誤ると企業のブランドを一気に失墜させるものです。何かあったとき、長年培ったブランドが一晩のうちに崩壊するという例は少なくありません。

近年、食の安全に関わる会社関連の事件・事故の報道が多く見られます。しかし、ある会社はマスコミから厳しく指弾される一方、それほど厳しい論調とはならない会社もあります。その際のマスコミの報道姿勢には、日頃の当企業のレピュテーション・マネジメントの取り組み姿勢や巧拙が見え隠れします。また、一部の金融業者の中には日頃からあまり評判が芳しくないところがあったことが、当業界にとって規制が厳しくなる下地となった可能性があります。

日頃あまり好意を持たれていなければここぞという具合にバッシングを受け、その逆であれば、反倫理性や故意・重過失がなければ、一つの事故として受け止めてもらえる可能性が出てきます。

会社の評判の蓄積はいつしかレピュテーション・キャピタル(評判によって築かれた無形資産)となり、いざという時に会社を守ってくれる防波堤となり得るものと考えられます。

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