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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第56回:ぴったりのメディアというものはない

Q 当社はBtoB企業です。広告を検討したいのですが、どのメディアも自社のターゲットとユーザー層が一致しません。自社のターゲットにメッセージを届ける費用だけを負担したいのですが。
A ある会社1社に最適化されたメディアというものは存在しえないことを前提として、改めて考え直す必要があると思います。

どのようなメディアもある程度まとまった数の視聴者ないしは読者の支持があってはじめて成り立つものです。

ターゲットが特定の層に絞り込まれたメディアとしてたとえば専門誌があります。一般紙と比較して読者像が明確なので、広告媒体として好む広告主もいます。しかし、たとえニッチな分野にフォーカスした専門誌といえども、一定の発行部数がないと広告媒体としての価値は弱いものになります。そこで、非常に専門的な内容の記事に加え、ある程度幅広い読者に読んでもらえるような内容の記事を考えます。位置付けが明確であり、しかも多くの人に受け入れられるような媒体は優れた広告媒体といえます。

しかし、読者が多ければ、それだけ広告主の目から見て本当のターゲット以外のユーザーが含まれる可能性が高くなることはやむを得ないと考えられます。多くの広告主が相乗りする必要があるメディアでは、特定の広告主のターゲットだけを読者とすることはおよそ困難なことです。そのような媒体は商業的に成り立つ可能性は非常に低いといわざるを得ません。もし読者とターゲットが完全に一致するような媒体が欲しいのであれば、自社で発行するしかないでしょう。

インターネットは例外的に自社のターゲットに比較的効率よくリーチできる媒体であると考えられます。しかし、自社のサイトに多くのユーザーを誘導するためには、結局どこかのメディアに広告を出さなければならないので、上記のような問題は必ず起こると覚悟した方がよいと思います。

経験的にいって、これもダメ、あれもダメ、といって自社に都合よく整えられた環境だけを求めようとする会社では、何の施策も打たないまま、ずるずると時間が経過してしまっている例が多いようです。

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