廉価販売をやめて利益重視の価格設定をすべきとよく言われますが、どのようにすべきでしょうか。 | |
消費者の方から買いに来てもらえるように努めることが重要です。 |
以前から、日本企業は利益を犠牲にしてもシェア獲得を優先し、結果として低収益率に甘んじることが多いということはよく指摘されてきました。
もっとも、製品特性によってはそれが合理的な行動である場合があります。たとえば、エクスペリエンスカーブが強く働く(累積生産量の増加に伴う単位生産費用削減効果が非常に大きい)製品については、他社に先んじてできるだけ早くカーブを下るためのプライシング戦略が有効になります。
しかし、コモディティ製品からの安定的な収益が見込みにくい今日にあっては、より差別化戦略を強力に推し進めそれに見合った価格を設定することがますます重要になります。
販売戦略においては、こちらから売りに行くことによってシビアになりがちな価格交渉の負担を下げ、消費者自らが欲しいと思って買いに来てもらえるようなコミュニケーションや流通の戦略が重要となります。
フランスのワインでは、メーカー側が個々の製品を売り込むというより、ユーザー自身が製品の知識を身に付けることによってより上質な製品を買い求めることが期待されるマーケティングが行われています。欧米のファッションブランドでは、より価値の高いブランドほど流通のコントロールがきめ細かくなされ、正規ルートでしか入手できない傾向にあります。幅広いチャネルで取り扱ってもらうことは販売数量の増加にプラスのこともありますが、売れ残りがセールの対象となりブランド価値を毀損されてしまうリスクが高まります。
このように、高く売る方法とはとりも直さずブランド力を高めることそのものであるということができます。
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