ブランディングは営利を目的とする組織にのみ適用されるのでしょうか。 | |
今後はNPOなど非営利の団体でも重要になると考えられます。 |
ブランディング技法の発達は、まず清涼飲料水や家庭用品などコモディティと呼ばれる商品分野で発達しました。
ブランド認知、ブランド連想など、今日のブランディング理論も、こうしたコモディティ分野で行われた様々な取り組みが大きな役割を果たしてきました。
今日でも、テレビなどマス媒体を通じた幅広い認知の獲得によるブランディングでは大衆消費財が主導的な役割を果たしています。
そのためか、ブランディングには民間企業、とりわけBtoCと言われる消費財分野の企業が、利益の最大化を目指して行う活動というイメージがどうしてもつきまといます。
しかし、ブランディングは必ずしも営利企業だけのものではありません。世界では寄付や慈善の文化がありますし、日本でも、震災を契機としてボランティアの文化が急速に広まっています。
これに対し、その担い手となるNPOなどの団体は、必ずしも十分な組織、体制を備えているとは限りません。
その一方で、今日、ますます多くの人が、自らの信念や信条に基づき、寄付行為を通じて他人のために何らかの貢献をしたいと思うようになっています。こうした方々から賛同を得て寄付を募るため、組織の設立理念や活動目標、実績を伝達していく活動もまたブランディング活動に他なりません。
むしろ、寄付行為を行う人は、利益に基づくのではなく、個人の信条や納得感に基づくからこそ、その部分に働きかける高次のブランディング活動が求められるといえます。実際に行う活動は、外見上は営利企業が経験済みのブランディング活動とさほど変らないかも知れません。しかし、そのこと自体はNPOによるブランディング活動を否定する理由にはなりませんし、むしろ積極的に取り入れるべきところは少なくないと考えられます。
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