ブランド戦略通信 │トライベック・ブランド戦略研究所

Webマスターに聞く!

シリーズ2 第2回:サッポロビール株式会社

話し手
サッポロビール株式会社 経営戦略本
コーポレートコミュニケーション部
インターネット推進室 Webマスター

石原 友樹氏
顔写真

キーワードは“スリム化”

「ユーザーは企業情報サイトに会社に関する何らかの情報を探しに来ている。従って、最も重要なテーマは情報へのたどり着きやすさ」と、サッポロビールの経営戦略本部コーポレートコミュニケーション部インターネット推進室の石原友樹Webマスターは断言する。サッポロビールでは、そのテーマを徹底的に具現化。企業情報のトップページでは余計な情報を排除し、極めてシンプルに「ニュースリリース」、「サッポロビールの歩み」といった見出しを列挙する。「見出しの下に1、2行の説明文を付けることも検討したが、最終的にそれを読む手間を考えて省き、とにかく最短で本文にアクセスできるような構成に仕上げた」と石原氏は説明する。

本文は企業姿勢、事業内容などテーマごとに文章をコンパクトにまとめ、読みやすさを追求している。見出し、本文ともに文章を “スリム化”し、短時間でサッポロビールという会社の全体像を把握できるように配慮している。

サッポロビールウェブサイトの歩み

【表1】サッポロビールウェブサイトの歩み

IR情報は2003年に設立された持ち株会社のサッポロホールディングス(HD)のWebサイトに移設。環境情報、CSR情報も項目を設けるものの、簡単な記述にとどめ、毎年発行するレポートなど詳細情報は同様にサッポロHDで公開する。このように、事業会社としてのポジションに合わせて、投資家向け情報は切り離し、それ以外の企業情報を提供するという “コンテンツのスリム化”を大胆に推し進めている。

必要機能は手厚い

一方で、ニュースリリースについては手厚い。ビール、発泡酒、ワイン・洋酒、その他といったジャンル別に仕分するだけでなく、キーワード検索機能も設置。月別のニュースリリースを表示するカレンダー機能も置く。さらに、RSSも導入し、メールによるニュースリリース配信サービスも提供する。これだけ充実させているWebサイトは珍しく、特にビール業界では群を抜いている。「マスメディア関係者が使いやすいように意識した結果、現在の形になった」と、石原氏は話すが、情報アクセス力を高めようとする姿勢が伝わってくる。このように、余分な部分はそぎ落としてスリム化する一方で、必要と考える部分にはきちんと肉付けをしている。

こうしたユーザビリティの向上は一般ユーザーの高評価という副産物をもたらす。2005年の企業情報サイト調査で、ユーザーに個別のコンテンツの評価を聞いたところ、「ニュース」という項目で、サッポロビールは競合他社を抑え、ビール業界で最も高い評価を得た。ユーザーは鋭い観察眼と審査力でサッポロビールに軍配を上げているのだ。

調査結果では、個人で「製品・サービスを購入したい」と答えたユーザーが、Webサイトを見ていない人で67.3%だったのに対し、見た人で77.7%と、10.3ポイント多いという結果が得られた。これも競合他社を上回る水準。購入意向に企業情報サイトが好影響を及ぼしていると推察できる。企業情報サイトには、「黒ラベル」や「ヱビスビール」など、なじみ深い商品の情報も掲載されている。それらの商品がサッポロビールのブランドであることをサイトで初めて知ったユーザーも存在し、購入意向アップに寄与したとも考えられる。

スリムな“サッポロ流”は今後も継続

Webサイトの運営体制は少数精鋭である。全体の管理とログデータの収集や関連部署へのフィードバック、そして会員組織の管理などは、インターネット推進室が一手に引き受けており、主要スタッフは、石原氏を含めた専任が4人、技術担当の兼任が1人、計5人である。また、企業情報サイトのニュースリリースなどの更新や各種メンテナンスは広報室が受け持ち、インターネット推進室のスタッフ1人がサポートする体制をとる。

広報室にはニュースリリースに載せる題材が各事業部から寄せられるが、待っているだけではなく、広報室自らが足を運び、“ネタ集め”に汗を流すこともしばしばという。「社内取材は定例会の場だったり、個人的にだったり。そうした社内コミュニケーションは不可欠」と、経営戦略本部コーポレートコミュニケーション部広報室の小笠原恭子氏は話す。

こうした運営体制の変更や、企業情報サイトの大幅リニューアルの予定は、今のところない。しかし、企業情報サイトも含めたWebサイト全体を最後にリニューアルしてから、すでに4年が経つ。「当時とはコンテンツも大きく変わった。コンテンツが変われば、当然見せ方やナビゲーションのリニューアルも必要になる。今後、1年か、1年半くらいのスパンで、どうするかを考えたい。」(石原氏)。

コンテンツの拡充では、創業130周年に合わせて、サッポロビールの歴史をまとめたものを用意する予定である。ただし、これは企業情報サイトの外に別サイトとして立ち上げる。同社では、工場見学関連情報も企業情報サイトに含めないなど、コンテンツの棲み分けを徹底している。歴史ものは企業情報サイトの傘下に収めるのが一般的だが、ここでも、スリムな“サッポロ流”は貫かれるようである。

サッポロビールのWebサイト構築のポイント
  • 見出し・文章は冗長性を排除し、徹底的にスリム化
  • 投資家向け情報のサッポロHDへの移設など、コンテンツもスリム化
  • ニュースリリースの機能性は充実させるなど、情報アクセス力は強化
  • 広報室は各事業所に積極的に社内取材し、ニュースリリースを収集
  • 今後も“サッポロ流”のシンプルなサイトを継続
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