ブランド戦略通信 │トライベック・ブランド戦略研究所

実践!ブランド戦略

第19回:意思決定コストはブランド価値か

Q 商品購入の意思決定に関わるコストを引き下げた効果はブランド価値といえますか。
A ブランド価値の本体というよりむしろリスク低減効果に相当すると考えられます。
図1

一般に、需要-供給の関係からは、価格が高くなるほど商品は売れにくくなると考えられています。ところが、価格の高いブランド品のほうが大量に売れることがあります。この状況を説明するために、「意思決定コスト」というファクターが考えられました。

これは、ある商品を購入するときには、その商品の価格や購入の手間などの目に見えるコストのほかに、その商品を購入するという意思決定をするためのコストがかかる、とするものです。

「他の人も使っているから安心できる」、「いつも使っているから安心できる」、「よそで実績があるから上司(あるいは家族)を説得するのが楽」などは意思決定コストを下げる要因となります。

そこで、ブランドには意思決定コスト低減効果があり、その効果こそがブランド価値に相当する、という考え方が生まれてきます。

しかし、このような意思決定は、「その商品がどうしても欲しいから」というロイヤルティの高さから来るものというよりもむしろ「その商品を選択すれば無難だから」というリスク回避の視点から行われていると考えられます。

したがって、そのブランド価値のもっとも重要な、「顧客を引きつけ、離さない」ことに由来する本来的な価値というよりもむしろ潜在的なリスク回避による効果ということができます。

このようなことはコンプライアンスと企業ブランド価値との関係についてもいえると思います。法令を遵守すること自体は価値を生みませんが、企業が社会的な役割を果たすための基本的な部分であるといえます。不祥事による決定的なダメージを避けられた、ということは企業防衛の観点からは重要ですが、ブランド効果としては消極的なものといえます。

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