MENU

Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第125回:価格がすべてではない

Q 購入時の重視点として価格を挙げる人が多かったのですが、そのまま受け取って良いでしょうか。
A 最重視点は別にある可能性があります。

よく、アンケートで、ある製品を購入する際にあなたが重視することは何ですか、ということを尋ねることがあります。質問の形式として多いのは、機能、デザイン、サイズ、品質、サービスなど、いくつかの選択肢から任意に複数回答で選択するというものです。

多くの人は製品・サービスを選ぶとき、どんな製品が欲しいかをイメージし、同時に自分の懐具合とも照らし合わせます。欲しい製品の要件は人によって機能であったり、デザインであったり、さまざまです。また、同じ要件をある人はデザインと認識し、別の人はサイズと認識するということもあります。そのため、「どんな製品が欲しいか」に関しては回答がある程度分散する傾向にあります。

これに対して、価格という条件は、値段とか費用などの言い方はないわけではありませんが、あまり表現のバリエーションはなく、人による認識の違いが生じる余地はあまり大きくありません。しかも、ものにもよりますが、価格という条件をまったく考慮しないで商品を購入することはあまりなさそうに思われます。そのため、複数回答では、何番目に重視するかは別として、価格を選択する人が最も大きな割合を占めることがしばしばあります。

しかし、それと価格が最も重視されているかどうかは別問題です。このような質問では、「最も重視するものは何か」「二番目に重視するものは何か」のように選択肢に序列を付けることが考えられます。当たり前のようですが、集計が難しいという理由で避けられることがあります。たとえば、「最も重視」で機能を選択した人が40%、価格は10%、「二番目に重視」で機能を選択した人は5%、価格は50%となったとき、機能重視者は合計45%、価格重視者は合計60%で価格重視者が多いと結論づけて良いのか、という問題です。この手の議論が生じないようあらかじめ避けられている場合には、注意が必要です。

印刷する 印刷する