企業Webサイトには集客ツール、販売、購入者サポートを提供するツール、人材採用の基盤など、さまざまな側面を持っている。しかもそれぞれの役割は企業にとってますます重要になりつつある。しかし、残念ながら多くの経営者はその可能性を認識するに至っていない。
大きな要因の一つとして、Web担当者が用いるいわゆるWeb業界用語がきわめて専門的でしかも細部に入り込んでゆく傾向がある点が挙げられる。
多くの経営者にとってPVやUU、あるいはコンバージョンなどの言葉は耳慣れないものである。また、理解する必要にも迫られず、専門的な別世界のもののように感じていることが多いのではないだろうか。
経営者の用いる言葉はその会社が属する業界特有のもののほかは利益や企業価値、シェア、獲得数などの経営用語か、ないしは言葉から容易に内容が想像できるものである。
また、彼らは市場での位置付けをどう高めるか、競合との関係をどのように有利な形に変えるか、グローバル展開をどうするか、バリューチェーンの効率化にどうつなげるかなど、重要なテーマを抱えている。したがって、このような観点から組み立てられた報告は受け入れやすく、良い議論が行われる可能性が高い。
Web担当者には、ますます複雑化するデジタルマーケティングの世界においてより専門性の高いスキルが求められることは当然である。しかし同時に、それを企業経営の観点で見たときどのような意味づけがなされるかを理解し、報告対象者に合わせて報告するスキルが求められる。
Webサイト運営の現場で身につく専門知識以外にも、自己啓発的に学習しなければならない重要な知識体系があるのである。