間接売上価値とは
Webサイト価値評価(Web Equity)では、Webサイトの価値を、売上拡大への効果である「売上価値」と、企業活動の中で情報発信への効果を意味する「情報価値」の2つに分けて測定した。その「売上価値」はおおきく「直接売上価値」と「間接売上価値」から構成されている。今回はこの「間接売上価値」について説明する。
「間接売上価値」とは、自社が運営するWebサイトが間接的にその企業の売り上げ拡大に貢献している価値のこと。ECサイトやインターネット通販、あるいはバナー広告収入などのように、直接的にWebサイトの売上となっているものは「直接売上価値」であるのに対して、「間接売上価値」はWebサイトやメールマガジンなどで提供した情報によって、商品の情報が伝わり、ネットユーザーの購買意欲を高めて売上拡大につながるというケースがこれにあたる。さらに、間接売上価値をその売上がインターネット上(ただしその企業のWebサイトでの購入分を除く)で行われた「間接売上価値(ネット)」と、店舗や営業などリアル市場での購入による「間接売上価値(リアル)」とに分けて算出した。
間接売上価値の算出方法
間接売上価値は、国内売上高のうち、企業のWebサイトが関与した売上高はどれくらいに相当するかを消費者調査(郵送法およびインターネット法)の結果から測定し、そこから金額を算出した。
つまり、間接売上価値の算出式は以下のようになる。
間接売上価値 = 粗利益 × 購入者のうち自社サイトを参考にして購入した人の比率 × 自社サイト関与率
ここで「自社サイト関与率」とは、購入に際して必要となった情報の中で、Webサイトから入手した情報の割合のことである。つまり、売上高100億円、粗利益率50%の企業があったとして、その企業の商品を購入した人のうち、2割の人がその企業のWebサイトを利用していたとする。その2割の人は購入する際に必要とした情報のうち、3割をその企業のWebサイトから入手していたとすると、その企業のWebサイトの間接価値は100億円×50%×20%×30%=3億円となる。
この企業の商品が他社のネット通販などで売り上げられている場合は「間接売上価値(ネット)」となり、店舗や営業員などによって売り上げられている場合は「間接売上価値(リアル)となる。
間接売上価値ランキング
さて、Web Equity 2004で、最も「間接売上価値(ネット+リアル)」が大きかったのはトヨタ自動車で694億円と算出された。同社のサイトは10月から「新車関連情報」(http://toyota.jp)と、「企業情報」(http://www.toyota.co.jp)とに分けて運営している 。その「新車関連情報」ではすべての車種についての情報をWebサイトから入手することができる。その際にページ左側のサイドメニューに「オンライン見積もり」「カタログ請求」「商談予約」のメニューが用意されており、これをクリックすると近くのディーラーから見積もりや連絡が届くようになっている。
また、同社が運営しているポータルサイト「GAZOO」では、中古車の検索や商談などもできるようになっており、消費者視点による「車の購入」を総合的にカバーするサイトになっている点が高い価値につながっている。
トヨタに次いで間接売上価値が大きかったのは松下電器( http://www.panasonic.co.jp)で363億円。新製品発売にあたっては、同社ではWebサイトを積極的に活用している。注目製品は発売前から特設サイトが設置され、そこには商品の詳細な情報が掲載される。広告にはそのサイトのURLが記載されるなど、Webサイトと既存メディアとのメディアミックスによって販売促進の相乗効果を高めている。また、新製品発表会の様子を動画で提供するサイト(チャンネル・パナソニック)も積極的に展開している。
3位は日産自動車で314億円。そして7位にホンダが271億円と自動車業界のトップ3社はいずれも高い間接売上価値が算出された。
6位にはソニー(274億円)、8位にNEC(251億円)、9位に東芝(250億円)、10位に富士通(196億円)、11位にキヤノン(194億円)、17位に日立(127億円)とIT業界の大手企業はいずれも高い間接価値となった。
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